最後は、BCAP (Babson Consulting Alliance Program) のプレゼンテーションを顧客企業の前で行いまして、3か月の夏休みに入りました。考えてみると、本当に実り多き10か月でした。入学前と比べると、断然、ビジネスセンスがついたと思いますし、バブソン大学のテーマである、アントレプレナーシップについても、だいぶマインドセットが備わってきたと思います。さて、そのビジネスセンスとアントレマインドを試すのが、夏休みのインターンシップです。(バブソン大学のMBAでは、CPT: Curricular Practical Trainingというプログラムの一環で、学生ビザで夏休みの間、労働が許可されます。いわゆる、サマーインターンです。)
私は、この夏休みは、ボストンで、ある日本食レストランの立ち上げを手伝わさせていただくことになりました。オーナーさんは、某IT企業の創業者で、その会社を大手インターネット企業に売却された経験もある、若手アントレプレナーです。日本でのベンチャー企業の立ち上げと経営の経験を生かし、今度は、アメリカでサービス業にチャレンジされるのです。
レストランの場所は、ボストンの一等地で、人通りも多く、由緒正しい場所です。築150年の建物で、もともとイタリアンレストランだったものを、いわゆる居抜きで日本食レストランに改造しています。
私は、そこで、「何でもやります」という条件で働かせていただいています。オープンを前に、今は、ひたすら掃除や、壁・天井・椅子・テーブルのペンキ塗り、そして、メニューの試食!たまに試飲も(笑) まだまだ、スタッフもリクルーティングをしている最中で、まさに、お店をゼロから作っている感覚です。
東京からヘルプで来てくださった寿司職人さんのにぎりを試食。 ネタとシャリが最高のバランス。 |
ペイストリー・シェフさんの作るシュークリーム。 アメリカでは、クリームパフと呼びます。 |
ここで、私が体得しようとと思っていることは、以下の3つです。
(1)日本流のサービスとアメリカ流の経営の融合
これは、奥が深いです。私は、日本流のサービスが優れていると思っています。日本食は美味しいし、サービスは最高です。しかし、それが必ずしもアメリカでうけるとは限りません。日本流をどこまで押し付け、どこまで妥協するか、これを勉強したいです。そして、それをアメリカ型の経営スタイルにどうはめ込んでいくか。これを勉強して、日本のサービス業のグローバル化へのヒントを手に入れたいです。
(2)現場の感覚を養う
私は、ビジネスマンとして、理論と実践の往復が、重要だと思っています。ビジネススクールにいると、机の上の勉強で手一杯です。さすがに、2年間を机の上で過ごしてしまうと、ビジネスの現場感覚というのものを失いかねません。そこで、この3か月は、厳しい実社会に身を投じて、その感覚を研ぎ澄まそうと思っています。これが、2年目のビジネススクールの勉強にも役立つと思っています。
(3)アントレプレナーシップにどっぷり浸る
オーナーさんは、根っからのアントレプレナーです。その方といっしょに働いていると、常に、モチベーションを注入されます。オーナーさんは、朝から深夜までずっと働いています。みんなが帰った後に、独り、床にモップをかけている背中には心を強く揺さぶられます。グロービスの堀義人さんが、「アントレは教えるものではなく、伝播するものだ」とおっしゃっていましたが、まさにそのとおりです。このインターンで、アントレの精神を吸収して、私自身もアントレを伝播できる人間になりたいと思います。
というわけで、5月下旬より、働き始めました。まだまだ、どんなレストランになるかわかりませんが、少しでもお役にたって、素晴らしいレストランを作っていきたいです。