本題に行く前に、今週から春学期が始まりましたので、その説明を簡単にします。バブソン大学MBAの春学期は、二つのモジュールに分かれています。1月から3月までのモジュール3では、6つの授業があります。IT、オペレーション、コスト分析、組織デザイン、マーケティング、ファイナンスです。どれも、必須科目で、基礎を習います。(授業名の詳細は、ブログの最後にのせました。)
組織デザインの2回目の授業で取り扱われた内容が、今日のテーマの「モチベーション」です。
授業前に、宿題で、とあるIT企業のモチベーションを軸にしたケースを読み、それに対してみんなでディスカッションをしました。その企業では、「新しいマシーンを作る」という結束のもと、1人のマネージャーの強烈なプレッシャーが、従業員のモチベーションが高めていきます。
序盤、クラスの議論の中心は、「プレッシャーによってモチベーションは上がるのか」という内容でした。たとえば、「サメに追いかけられたら、速く泳ぐでしょ」という例で、プレッシャーは、モチベーションを生むのだという話が進んでいきました。
この手の話は、何度も自問自答してきた分野なので、議論を整理するためにも、私は、一つのフレームワークを提示しました。
私は、モチベーションには、2種類あると思っています。一つ目は、"I want to do this job."(Want to 型)です。二つ目は、"I have to do this job."(Have to 型)です。両者とも、歴としたモチベーションの源泉です。後者は、ネガティブな印象を受けますが、例えば、締切に向かってがんばって仕事をするのは、決してネガティブなことではありません。
そして、この二つを分けて考えないと、モチベーションを語るのは難しいと思うのです。と言いつつ、この二つは、固定しているわけではなく、両者を行き来します。
例えば、写真好きな人が、その趣味を仕事にするとします。そうすると自分の好きなことだけやっていればよかった趣味の時との違いに気づき、I want to do this job が、だんだんに I have do this job に変わるかもしれません。しかし、やっぱり、I want to do this job だ、って気が付いたり、この二つのミックスを感じるのではないでしょうか。
逆もしかりです。ほんとは、働きたくない学生が、お金を稼ぐために、接客のアルバイトを始めるとします。この時点で、I have to do this job であったモチベーションが、働くうちに、接客や仕事自体が楽しくなって、I want to do this job になることもあります。
ということで、こんなグラフのように、モチベーションは、Want to 型と Have to 型を行き来するわけです。
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Want to 型 と Have to 型 を往来するモチベーション |
ここで、重要なのは、この二つをコントロールすることです。コントロールは、私たち自身ができることでもあり、また、マネージャーがやるべきことでもあります。
私たち自身としては、モチベーションがいまいち上がらない時、Have to 型モチベーションを無理やり作り出すことが可能です。たとえば、今やっているプロジェクトに、きつめの期限を設けて「サメに追いかけられている」状況を作り出すことで、Have to 型モチベーションが高まります。そして、やっているうちに、そのスピード感が楽しくなり、Want to 型モチベーションが生まれるかもしれません。
また、マネージャーとしては、Have to 型と Want to 型をうまくブレンドしながら、部下のモチベーションを高めていかなくてはいけません。残念ながら、プレッシャーだけのHave to 型だけを使っていると、悪いムードの組織になってしまいます。かといって、Want to 型だけだと、緊張感のない、モラルや生産性の低い組織になりかねません。
そんなわけで、ひとしきり議論が盛り上がった後、教授はこうまとめました。
「モチベーションは、組織のデザインによって、うまれる。そして、その組織をデザインするのは、マネージャーやリーダーである。」
と、この結論だけ聞くとありきたりな感じですね。。。まあ、しょうがないです。結論より、議論のほうが大事なクラスもあるので。
ということで、これから、自分を実験台に、いろいろモチベーションのテストをしていこうと思っています。
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モジュール3の授業
IT -- ISM: Information Systems for Managers
オペレーション -- TOM: Technology & Operations Management
コスト分析 -- SCS: Strategic Cost Systems
組織デザイン -- ODP: Organizational Design & Process
マーケティング -- DMS: Designing Marketing Systems
ファイナンス -- FIN: Finance