2011年9月8日木曜日

インターンを終えて

8月26日で、3ヶ月間にわたる夏のインターンが終わりました。結果的に、1年目に勉強した内容を実践し、2年目に学ぶ内容の焦点を定めるのに、とてもいい経験をさせていただきました。ボストンのメインストリートでの日本食レストランのスタートアップということで、毎日が予期しないことの連続でした。最初の1ヶ月ほどは、開店準備のための清掃やペンキ塗りをひたすら行いました。スタートアップらしく、自分でやれることは自分でやるという姿勢を学びました。そして、7月に入ると、オープンを目前に控え、キッチンマネジメントの仕事にアサインしていただきました。効率的なオペレーションの確立と外国人コックのスーパーバイザー的な仕事を手伝わさせてもらいました。数えきれないほどの学びと驚きがあった3ヶ月間でした。その3ヶ月を通し、最初に立てた3つの目標は達成できたか考えてみたいと思います。

常識を打ち破れ

まず、第1の、「日本流のサービスとアメリカ型の経営の融合」についての学びですが、正直、経営に関しては、3ヶ月という短い期間でしたので、深く携わることはできませんでした。ただ、アメリカ人の嗜好に関する、沢山の発見をすることができました。そして、それは、私の常識を打ち砕く、毎日が驚きの連続でした。アメリカ人(一括りにしていますが、レストランがターゲットとしていたボストンのアメリカ人に限定)は、寿司というと、カリフォルニアロールに代表されるロールスシを指します。そして、魚の味を消してしまうくらい、醤油やスパイシーマヨネーズ、うなぎのたれをつけて食べます。いわば、ソースの味を楽しんでいます。これは、日本人の感覚からすると、「邪道」だし、なんだか、残念な気持ちになります。しかし、これが、彼らの食べ方であり、これで、美味しいと喜んでいただけるのであれば、それがここでのホスピタリティー(おもてなし)なのです。生魚の美味しさを伝えようとして、それを押し付けてしまうのは、自己満足に他なりません。だから、頭を柔らかく、心を広くもたなくてはなりません。

アメリカ人に人気のスパイシーマヨネーズがかかったロール寿司


これに、気づくのに、僕は時間がかかりました。しかし、時間をかけて、生魚の美味しさは伝えていくことも大事だと思っています。全員に受け入れられる必要はないのですが、きっと興味のあるお客様もいます。そういうチャンスを拾っていくのが文化の伝播であり、ビジネスにもなるのでしょう。また、この「邪道」から新しいチャンスが生まれることもあるのです。30年前、西海岸でカリフォルニアロールが作られたとき、それは邪道だったでしょう。しかし、今や、アメリカの市民権を得て、堂々とSushiの代表になっています。

Best of Boston 2011に輝いた某レストラン の寿司の上にはイチゴが。。。
この「邪道」もやがてスタンダードになるかもしれない

仕事に対する魂

第2の「現場での感覚を養う」という目的ですが、こちらは、かなり達成できたと思っています。一般的に、インターンというと、責任・権限のない傍観者的なポジションであることが多いです。しかし、小さなスタートアップビジネスであるが故、キッチンマネジメントという責任・権限を与えていただきました。冷や汗をかきながら、危機を乗り越えたり、時には、失敗をして会社にコストをかけてしまったこともありました。しかし、こういった経験が、私の仕事に対する魂を呼び覚ました。働くことは、楽しいことです。特に、私は、こうした人間と人間が日々ふれあう仕事が好きです。その気持ちを再確認できたことが大きな収穫だと思っています。

起業家精神の神髄

第3の「起業家精神にどっぷりと浸かる」ですが、オーナーさんの口癖でとても印象に残った言葉があります。私が、インターンを始めてすぐの頃、何かは忘れましたが、「これはできないかもしれないです」と言いました。そうすると、オーナーさんはこう返しました。「『できない』じゃなくて、『どうやったらできるか』を考えるのが経営者なんだよ」と。これを聞いたとき、僕の背中に戦慄が走りました。これこそ、起業家精神の神髄なのではないかと思いました。レストラン自体は、スタートアップですので、すべてが初めてで、わからないことばかりでした。だから、「どうやったらできるか」を考えなくては、前に進めないのです。そして、そこには、必ず、答えがあるのです。


本当に、たくさんのことがあったので、ここに書いたことは、学びのごくわずか一部分です。これらの経験をさせていただきました、オーナーさんを始めとする、レストラン関係者様には、大変お世話になりました。この経験をとおして、自分に足りていないことや、今の日本のホスピタリティービジネスに足りていないこと、を発見することができました。これらを課題にすることにより、2年目のビジネススクールでの勉強のフォーカスが定まりました。そして、先週より、いよいよ2年目がスタートしました。今後も、思ったこと、感じたこと、学んだことをアップしていこうと思います。

最終日にみんなが作ってくれたロブスタースープのまかない
自腹で買ってきてくれた3500グラムの活きたロブスターが調理された
美味しさと感謝の気持ちで感動しました!

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