2011年9月10日土曜日

モノ・サービスの良さを伝える力

8月31日から、バブソンMBAの2年目のプログラムが始まりました。2年目からは、ついに選択制の授業となります。また、夜だけのパートタイムの学生と同じ授業を受けるので、午後中心のクラス編制です。夜の6時半から9時までという遅いクラスがメインです。毎日朝8時から授業があった1年目と比べると、生活リズムを変える必要があります。

さて、2年目ですが、選択制ということもあり、何を中心に勉強していくかという柱のようなものが必要になります。私の場合は、マーケティングを中心に、ビジネスマンとしてのソフトスキル、数字感覚を磨いていこうと思っています。そこで、次の4つの授業をとりました。(短期集中のインテンシブ授業は別途。)

  • グローバル・マーケティング・ストラテジー:世界市場でのマーケティング戦略をを学びます。
  • ブランド・マネジメント:ブランドをどうやって作り、ビジネスに生かしていくかを学びます。
  • ネゴシエーション:アメリカ流のビジネス現場での交渉術を学びます。
  • アントレプレナー的ファイナンス:起業家および中小企業がどのように資金を調達するか学びます。

本題と関係ないですが、ハリケーン・アイリーンで倒された木


では、なぜ、私がマーケティングを中心に据えて勉強していこうと思ったか、なのですが、今の日本において、一番のびしろがあり、かつ、伸ばしていかなければならない分野だと思ったからです。日本は、質の高い商品とサービスにあふれ、それらが、効率の良いオペレーションで提供されている国だと思います。だから、今までは、そういったものを輸出することで、国際競争力を高めてきました。しかし、いつの間にか、他の国の、商品、サービス、オペレーションのレベルが日本に追いついてきました。となると、日本の優位性は相対的に低下せざるを得ません。そうなった今、こうして同質化し始めた商品、サービスを「どうやって売るのか」が今後の競争力の源泉になっていくのではないでしょうか?

インターンをしている時に、ボストンやニューヨークで活躍されている凄腕の職人さん方と一緒に働く機会がありました。その方々とお話をして、みなさんがおっしゃっていたのが、アメリカ人は能書きが好きだということです。例えば、同じミネラルウォーターでも、効能を得々と述べているものには、アメリカ人は飛びつくのだそうです。「この水は、夜に飲むとリラックス効果があります」と書かれた水と、何も書かれていない水、まったく同じ質の水でも、前者が売れるのです。そして、アメリカは、この言葉作りが驚くほどうまいです。

このように、どうやって、「モノ・サービスの良さをお客様に伝えるか」が、今の競争社会で生き残るキーになってきているのです。しかし、このテクニックは、日本では、文化的に許容されにくいのではないかと思うのです。だからこそ、マーケティングの発展が遅れてしまった気がするのです。

例えば、これらの言葉を見てみます。
  • 手前味噌ですが、、、(自分のつくったものをへりくだって)
  • つまらないものですが、、、(贈り物をへりくだって)
  • 能書きはいい。飲めばわかる。(能書きではなく、モノの本質がすべてだという含みを込めた日本酒のCM。中尾彬の名言)
どうも、日本では、「このモノはすごいんですよー」、とか、「このサービスはすごいんですよー」というのは、文化的に受け入れられにくいのではないかと思うのです。発信者の謙遜による自粛が主な原因です。そうすると、国際市場で、言葉巧みな外国企業に、負けてしまうのです。

とはいえ、確実に、能書きのトレンドは日本にも来ています。先日、和民のメニューを見ていて驚いたのです。

「頑固一徹!揚げたて厚揚 日本人の心にしみる味…自家製たまり醤油ソースで」

和民のウェブサイトに掲示されているメニューより

つまり、厚揚なのですが、こんなに長い説明がついているのです。これは、いわば、味の勝負から、言葉の選択の勝負になっているなと感じました。だいたい、どこの居酒屋チェーンに行っても、それなりに美味しいものが出てくる時代になりました。そうなると、味で差別化をするのが難しくなってきます。ということで、こういった言葉による付加価値を添えて、お客様が体験する価値を増幅させるというのがトレンドなのでしょう。

と長く論じつつも、能書きをたれるのが、マーケティングだとは思いません。あくまで、マーケティングの一つの手法です。違う言い方をすると、今、日本に必要なのは、モノ・サービスの良さを伝える力だと思います。そして、その力に大きな助けになるのがマーケティングだと思います。だから、マーケティングを勉強します。

次回は、マーケティングの骨組みについてまとめようと思っています。

2 件のコメント:

  1. 読み応えありました。Fallセメスターを終えて、また同じ視点から論じて頂けたら、興味深いと思いました。

    返信削除
  2. Shuji-san,
    コメントありがとうございました!そうですね。セメスターを終えたら、もっと深い考察ができているように、がんばりたいと思います。

    返信削除