2011年12月26日月曜日

正義 vs 正義


2週間前に、秋学期も終わり、MBA生活も残すところ半年となりました。2年目は、1年目の過酷なケース読解と知識吸収の生活と比べると、かなり余裕を持って、一つ一つの事象について考察をめぐらすことができました。それは、1年目に築いた体系的な知識とケース読解力が基礎にあったからできたことなのかもしれません。ものごとの考え方も、大きな枠で考えることができるようになってきたのではないかと感じています。

特に、ネゴシエーション(交渉術)のクラスは、私の考え方に大きな影響をもたらしたと思っています。授業が始まる前は、アメリカ型の交渉術というと、どうやって相手を打ち負かして勝つかという戦略を教えてもらえるのだと期待していました。しかし、実際には、相手とどうやってより大きな価値を創成していくかを教わりました。交渉は、「相手とのパイの奪い合い」ではなく、「相手とより大きなパイを創造する共同作業」なのです。そのために、どんなマインドセットで、どんな準備をして、どんな会話をしていくかを、練習しました。ハーバード大学の交渉ネットワーク研究所のテキストを使いましたので、和訳のものを3冊紹介します。



交渉とは相手と大きなパイを創成する共同作業

また、2年目も、たくさんのチームワークの機会がありました。その中で、相手の立場になってものごとを考えることの大切さを改めて認識しました。それは、会議の進め方やリーダーシップというような大きな話ではなく、普段のちょっとした言葉の言い回しやちょっとした気遣いがとても大事であると気づきました。

このような2年目の考察を元に、相手への理解を深めることの大事さを改めて考えたいと思います。世の中、何かと、「正義」と「悪」を作りたがる傾向があります。そして、自分は「正義」、相手は「悪」という分かりやすい二項対立のモデルに落とし込みます。そして、いかにして、その「悪」に打ち勝つかを考えるのがうけるストーリーになっています。少し前までのアメリカ映画はこの手の話がとても分かりやすく描かれていました。例えば、ディズニーの映画でも、「正義」と「悪」は分かりやすく表現され、「悪」が滅んでハッピーエンドというのが定番です。しかし、最近、このモデルに変化があるように思います。

一昨年、マイケル・サンデル先生の白熱教室でも、「正義」にはいろいろな形があるということが議論されていましたし、今ブロードウェイではやっているウィキッドというミュージカルも、どうして「悪い」魔女が誕生してしまったかという悲劇のストーリーに焦点が当てられています。すなわち、「正義」というものがあやふやな時代になってきているのです。そして、「自分が正義」で「それに反対する者は悪」という分かりやすいストーリーは、古い価値観になってきています。

西部劇で適役はアメリカ先住民。
写真は、マサソイト酋長像。マサチューセッツ州プリマスにて撮影。

自分も正しいし、相手も正しい。ただ、互いが「違う」歴史を所有していたり、「違う」組織を代表していたり、「違う」価値観を持っているというだけの話なのです。となると、大事なのは、その「違う」主張をどうやって共存させて、より大きな価値を創造していくかが、腕の見せ所になっていくのだと思います。

自分の意見を否定されると、不安になって自己正当化のための防御をしたり、相手を攻撃したりしてしまうことがあります。しかし、相手の「違う」意見に好奇心を持って、耳を傾けてみることが第1ステップです。そして、なんで相手がそう思っているのかを理解して、自分も相手も得をする結果をどうしたら得られるか考え、話合うのです。

例えば、私利私欲を肥やすために、人を無下に扱い、非人道的なことばかりを行っている人がいるとします。こういう人は、一般的に「悪」というポジショニングがされます。そして、その人を征伐するのが、「正義」です。しかし、ここで、征伐するのではなく、なんでその「悪」の人がそんな行動をとるのか理解してみることが大切です。もしかしたら、そうせざるをえない痛ましい事情や悲哀な歴史があるかもしれません。それを理解して、解決方法をはかるのがより大きなパイの創造です。企業の不祥事や政治家の不適切な言動も、その裏の事情や歴史を理解しなくては、結局のところ、同じような事件が繰り返されるでしょう。

自分も正義、相手も正義、というポジショニングをして、大きな視点から話し合いをする。その力をもっと鍛えていきたいと思います。

2011年10月21日金曜日

日本、絶賛の国へ


私は、世の中を元気に溢れさせたいと思っています。それで、いろいろと方向性を探っています。

将来的に、私は、世の中に、怒濤のように元気を供給していきたいと考えていますが、今できることは何なのかと考えることがあります。

紅葉のニューハンプシャーにて

そんなことを常々、思いながら、「夢をかなえるゾウ」の著者の水野敬也先生のブログ「ウケる日記」を読んでいると、とてもすばらしい記事に巡り会いました。


ぜひ、全文を読んでいただきたいのですが、要約すると、「人は褒められて伸びる。だから、人を賞賛しよう!」というプロジェクトなのです。日本は、今、人を褒めるよりも人を批判する雰囲気の方が強いのではないでしょうか?だから、その空気を変えて行こうというお話です。

大賛成です。

大賛成すぎて、水野先生にメールを出してみました。すると、すぐに返信をいただきました。
早速、プロジェクトは始動しているようです!
ツイッターのハッシュタグで「#絶賛」というのを提案してくださった方がいたということで、水野先生も、始められたそうです。

身の回りで素晴らしい人や出来事をつぶやいて「#絶賛」をつけます。

先日、Japan as No.1 (1979) の著者のハーバード大学のヴォーゲル先生のお話をお伺いするチャンスがありました。先生は、「日本は心配なことがたくさんあるけど、人と人が助け合う基本的な社会構造は、1979年の当時から変わらずにすばらしい」とおっしゃっていました。だから、この日本の良さを大事にして、
批判から絶賛へのムーブメントを作っていきましょう!

2011年9月23日金曜日

マーケティングの枠組み

2年目のプログラムが始まり、3週間がたちました。実践的な授業が進む中で、マーケティングの枠組みについてまとめておこうと思います。

世の中、商品やサービスが先に存在し、それをどうやって売るかと考えるのが一般的です。しかし、バブソン大学で教わるマーケティングでは、少し順番が違います。今回は、1年生のマーケティングの授業で、年間とおして使って来た「Bob Dolan's Model」を用いて、説明したいと思います。

このモデルでは、「世の中のチャンス」を見つけるところから入るのです。そして、チャンスを見つけたら、それをビジネスにするために、ターゲットとなる顧客を選定します。そして、その顧客にどのような価値提供をするのかをコンセプト化します。そして、ここで初めて、商品やサービスの内容を考えます。さらに、どこでどうやって売るのか、プロモーションをどうするのか、考えます。これらが決まったら、次に、価格を決めます。そして、最後に、どうやって新規顧客を得て、顧客を維持していくかを考えるのです。


では、この上の図を見ながら、もう少し、詳しく見ていきます。まずは、まずは、機会の創出ですが、これは、「5C」と呼ばれる、顧客(Customers)、会社(Company)、競合(Competitors)、協力者(Collaborators)、文脈(Context)の5つを見ることで、浮かび上がってきます。

そして、ターゲットとなる顧客の選定ですが、これは、STPというプロセスにのって行います。まずは、Segmentationです。市場を趣向によって、いくつかのグループに分けます。そして、その中のどのグループに売るのかを考えます(Target)。そして、そのグループに合わせて、ビジネスをPositioningします。

これが終わると、そのビジネスが顧客に提供する「価値」が見えてきます。これを、バブソンでは、「カスタマー・バリュー・プロポジション」(Customer Value Proposition)と呼んでいます。そこで、「〇〇という商品は、どういう顧客層に、どういうコンセプトで、どういう価値を提供します」という明言化がされます。

カスタマー・バリュー・プロポジションができたら、次は、商品やサービスの内容を決めます(Product)。ここが、重要なポイントだと思うのです。すなわち、売りたいものを売るのではなく。顧客に提供する価値に合わせてものを作って売るのです。そして、売る場所(Place)を決めます。物理的な場所に限らず、流通やそれにまつわるロジスティクスもここに含まれます。そして、宣伝方法(Promotion)を考えます。ここまできて、次に、価格を決めます(Price)。これらが、俗にいう、4Pです。

そして、最後に、どうやって、新規顧客を得て、顧客を維持していくかを考えます。

これが、マーケティングの一連の流れです。長いプロセスですが、大事なのは、売りたいものを売るのではなく、「顧客に提供する価値」に合わせてものを作って売ることなのです。この「顧客に提供する価値」をきちんと定めることがとても重要なのです。

2011年9月10日土曜日

モノ・サービスの良さを伝える力

8月31日から、バブソンMBAの2年目のプログラムが始まりました。2年目からは、ついに選択制の授業となります。また、夜だけのパートタイムの学生と同じ授業を受けるので、午後中心のクラス編制です。夜の6時半から9時までという遅いクラスがメインです。毎日朝8時から授業があった1年目と比べると、生活リズムを変える必要があります。

さて、2年目ですが、選択制ということもあり、何を中心に勉強していくかという柱のようなものが必要になります。私の場合は、マーケティングを中心に、ビジネスマンとしてのソフトスキル、数字感覚を磨いていこうと思っています。そこで、次の4つの授業をとりました。(短期集中のインテンシブ授業は別途。)

  • グローバル・マーケティング・ストラテジー:世界市場でのマーケティング戦略をを学びます。
  • ブランド・マネジメント:ブランドをどうやって作り、ビジネスに生かしていくかを学びます。
  • ネゴシエーション:アメリカ流のビジネス現場での交渉術を学びます。
  • アントレプレナー的ファイナンス:起業家および中小企業がどのように資金を調達するか学びます。

本題と関係ないですが、ハリケーン・アイリーンで倒された木


では、なぜ、私がマーケティングを中心に据えて勉強していこうと思ったか、なのですが、今の日本において、一番のびしろがあり、かつ、伸ばしていかなければならない分野だと思ったからです。日本は、質の高い商品とサービスにあふれ、それらが、効率の良いオペレーションで提供されている国だと思います。だから、今までは、そういったものを輸出することで、国際競争力を高めてきました。しかし、いつの間にか、他の国の、商品、サービス、オペレーションのレベルが日本に追いついてきました。となると、日本の優位性は相対的に低下せざるを得ません。そうなった今、こうして同質化し始めた商品、サービスを「どうやって売るのか」が今後の競争力の源泉になっていくのではないでしょうか?

インターンをしている時に、ボストンやニューヨークで活躍されている凄腕の職人さん方と一緒に働く機会がありました。その方々とお話をして、みなさんがおっしゃっていたのが、アメリカ人は能書きが好きだということです。例えば、同じミネラルウォーターでも、効能を得々と述べているものには、アメリカ人は飛びつくのだそうです。「この水は、夜に飲むとリラックス効果があります」と書かれた水と、何も書かれていない水、まったく同じ質の水でも、前者が売れるのです。そして、アメリカは、この言葉作りが驚くほどうまいです。

このように、どうやって、「モノ・サービスの良さをお客様に伝えるか」が、今の競争社会で生き残るキーになってきているのです。しかし、このテクニックは、日本では、文化的に許容されにくいのではないかと思うのです。だからこそ、マーケティングの発展が遅れてしまった気がするのです。

例えば、これらの言葉を見てみます。
  • 手前味噌ですが、、、(自分のつくったものをへりくだって)
  • つまらないものですが、、、(贈り物をへりくだって)
  • 能書きはいい。飲めばわかる。(能書きではなく、モノの本質がすべてだという含みを込めた日本酒のCM。中尾彬の名言)
どうも、日本では、「このモノはすごいんですよー」、とか、「このサービスはすごいんですよー」というのは、文化的に受け入れられにくいのではないかと思うのです。発信者の謙遜による自粛が主な原因です。そうすると、国際市場で、言葉巧みな外国企業に、負けてしまうのです。

とはいえ、確実に、能書きのトレンドは日本にも来ています。先日、和民のメニューを見ていて驚いたのです。

「頑固一徹!揚げたて厚揚 日本人の心にしみる味…自家製たまり醤油ソースで」

和民のウェブサイトに掲示されているメニューより

つまり、厚揚なのですが、こんなに長い説明がついているのです。これは、いわば、味の勝負から、言葉の選択の勝負になっているなと感じました。だいたい、どこの居酒屋チェーンに行っても、それなりに美味しいものが出てくる時代になりました。そうなると、味で差別化をするのが難しくなってきます。ということで、こういった言葉による付加価値を添えて、お客様が体験する価値を増幅させるというのがトレンドなのでしょう。

と長く論じつつも、能書きをたれるのが、マーケティングだとは思いません。あくまで、マーケティングの一つの手法です。違う言い方をすると、今、日本に必要なのは、モノ・サービスの良さを伝える力だと思います。そして、その力に大きな助けになるのがマーケティングだと思います。だから、マーケティングを勉強します。

次回は、マーケティングの骨組みについてまとめようと思っています。

2011年9月8日木曜日

インターンを終えて

8月26日で、3ヶ月間にわたる夏のインターンが終わりました。結果的に、1年目に勉強した内容を実践し、2年目に学ぶ内容の焦点を定めるのに、とてもいい経験をさせていただきました。ボストンのメインストリートでの日本食レストランのスタートアップということで、毎日が予期しないことの連続でした。最初の1ヶ月ほどは、開店準備のための清掃やペンキ塗りをひたすら行いました。スタートアップらしく、自分でやれることは自分でやるという姿勢を学びました。そして、7月に入ると、オープンを目前に控え、キッチンマネジメントの仕事にアサインしていただきました。効率的なオペレーションの確立と外国人コックのスーパーバイザー的な仕事を手伝わさせてもらいました。数えきれないほどの学びと驚きがあった3ヶ月間でした。その3ヶ月を通し、最初に立てた3つの目標は達成できたか考えてみたいと思います。

常識を打ち破れ

まず、第1の、「日本流のサービスとアメリカ型の経営の融合」についての学びですが、正直、経営に関しては、3ヶ月という短い期間でしたので、深く携わることはできませんでした。ただ、アメリカ人の嗜好に関する、沢山の発見をすることができました。そして、それは、私の常識を打ち砕く、毎日が驚きの連続でした。アメリカ人(一括りにしていますが、レストランがターゲットとしていたボストンのアメリカ人に限定)は、寿司というと、カリフォルニアロールに代表されるロールスシを指します。そして、魚の味を消してしまうくらい、醤油やスパイシーマヨネーズ、うなぎのたれをつけて食べます。いわば、ソースの味を楽しんでいます。これは、日本人の感覚からすると、「邪道」だし、なんだか、残念な気持ちになります。しかし、これが、彼らの食べ方であり、これで、美味しいと喜んでいただけるのであれば、それがここでのホスピタリティー(おもてなし)なのです。生魚の美味しさを伝えようとして、それを押し付けてしまうのは、自己満足に他なりません。だから、頭を柔らかく、心を広くもたなくてはなりません。

アメリカ人に人気のスパイシーマヨネーズがかかったロール寿司


これに、気づくのに、僕は時間がかかりました。しかし、時間をかけて、生魚の美味しさは伝えていくことも大事だと思っています。全員に受け入れられる必要はないのですが、きっと興味のあるお客様もいます。そういうチャンスを拾っていくのが文化の伝播であり、ビジネスにもなるのでしょう。また、この「邪道」から新しいチャンスが生まれることもあるのです。30年前、西海岸でカリフォルニアロールが作られたとき、それは邪道だったでしょう。しかし、今や、アメリカの市民権を得て、堂々とSushiの代表になっています。

Best of Boston 2011に輝いた某レストラン の寿司の上にはイチゴが。。。
この「邪道」もやがてスタンダードになるかもしれない

仕事に対する魂

第2の「現場での感覚を養う」という目的ですが、こちらは、かなり達成できたと思っています。一般的に、インターンというと、責任・権限のない傍観者的なポジションであることが多いです。しかし、小さなスタートアップビジネスであるが故、キッチンマネジメントという責任・権限を与えていただきました。冷や汗をかきながら、危機を乗り越えたり、時には、失敗をして会社にコストをかけてしまったこともありました。しかし、こういった経験が、私の仕事に対する魂を呼び覚ました。働くことは、楽しいことです。特に、私は、こうした人間と人間が日々ふれあう仕事が好きです。その気持ちを再確認できたことが大きな収穫だと思っています。

起業家精神の神髄

第3の「起業家精神にどっぷりと浸かる」ですが、オーナーさんの口癖でとても印象に残った言葉があります。私が、インターンを始めてすぐの頃、何かは忘れましたが、「これはできないかもしれないです」と言いました。そうすると、オーナーさんはこう返しました。「『できない』じゃなくて、『どうやったらできるか』を考えるのが経営者なんだよ」と。これを聞いたとき、僕の背中に戦慄が走りました。これこそ、起業家精神の神髄なのではないかと思いました。レストラン自体は、スタートアップですので、すべてが初めてで、わからないことばかりでした。だから、「どうやったらできるか」を考えなくては、前に進めないのです。そして、そこには、必ず、答えがあるのです。


本当に、たくさんのことがあったので、ここに書いたことは、学びのごくわずか一部分です。これらの経験をさせていただきました、オーナーさんを始めとする、レストラン関係者様には、大変お世話になりました。この経験をとおして、自分に足りていないことや、今の日本のホスピタリティービジネスに足りていないこと、を発見することができました。これらを課題にすることにより、2年目のビジネススクールでの勉強のフォーカスが定まりました。そして、先週より、いよいよ2年目がスタートしました。今後も、思ったこと、感じたこと、学んだことをアップしていこうと思います。

最終日にみんなが作ってくれたロブスタースープのまかない
自腹で買ってきてくれた3500グラムの活きたロブスターが調理された
美味しさと感謝の気持ちで感動しました!

2011年6月12日日曜日

サマーインターン

5月12日にMBAの1年目を修了しました!

最後は、BCAP (Babson Consulting Alliance Program) のプレゼンテーションを顧客企業の前で行いまして、3か月の夏休みに入りました。考えてみると、本当に実り多き10か月でした。入学前と比べると、断然、ビジネスセンスがついたと思いますし、バブソン大学のテーマである、アントレプレナーシップについても、だいぶマインドセットが備わってきたと思います。さて、そのビジネスセンスとアントレマインドを試すのが、夏休みのインターンシップです。(バブソン大学のMBAでは、CPT: Curricular Practical Trainingというプログラムの一環で、学生ビザで夏休みの間、労働が許可されます。いわゆる、サマーインターンです。)

私は、この夏休みは、ボストンで、ある日本食レストランの立ち上げを手伝わさせていただくことになりました。オーナーさんは、某IT企業の創業者で、その会社を大手インターネット企業に売却された経験もある、若手アントレプレナーです。日本でのベンチャー企業の立ち上げと経営の経験を生かし、今度は、アメリカでサービス業にチャレンジされるのです。

レストランの場所は、ボストンの一等地で、人通りも多く、由緒正しい場所です。築150年の建物で、もともとイタリアンレストランだったものを、いわゆる居抜きで日本食レストランに改造しています。

私は、そこで、「何でもやります」という条件で働かせていただいています。オープンを前に、今は、ひたすら掃除や、壁・天井・椅子・テーブルのペンキ塗り、そして、メニューの試食!たまに試飲も(笑) まだまだ、スタッフもリクルーティングをしている最中で、まさに、お店をゼロから作っている感覚です。

東京からヘルプで来てくださった寿司職人さんのにぎりを試食。
ネタとシャリが最高のバランス。

ペイストリー・シェフさんの作るシュークリーム。
アメリカでは、クリームパフと呼びます。

ここで、私が体得しようとと思っていることは、以下の3つです。

(1)日本流のサービスとアメリカ流の経営の融合
これは、奥が深いです。私は、日本流のサービスが優れていると思っています。日本食は美味しいし、サービスは最高です。しかし、それが必ずしもアメリカでうけるとは限りません。日本流をどこまで押し付け、どこまで妥協するか、これを勉強したいです。そして、それをアメリカ型の経営スタイルにどうはめ込んでいくか。これを勉強して、日本のサービス業のグローバル化へのヒントを手に入れたいです。

(2)現場の感覚を養う
私は、ビジネスマンとして、理論と実践の往復が、重要だと思っています。ビジネススクールにいると、机の上の勉強で手一杯です。さすがに、2年間を机の上で過ごしてしまうと、ビジネスの現場感覚というのものを失いかねません。そこで、この3か月は、厳しい実社会に身を投じて、その感覚を研ぎ澄まそうと思っています。これが、2年目のビジネススクールの勉強にも役立つと思っています。

(3)アントレプレナーシップにどっぷり浸る
オーナーさんは、根っからのアントレプレナーです。その方といっしょに働いていると、常に、モチベーションを注入されます。オーナーさんは、朝から深夜までずっと働いています。みんなが帰った後に、独り、床にモップをかけている背中には心を強く揺さぶられます。グロービスの堀義人さんが、「アントレは教えるものではなく、伝播するものだ」とおっしゃっていましたが、まさにそのとおりです。このインターンで、アントレの精神を吸収して、私自身もアントレを伝播できる人間になりたいと思います。

というわけで、5月下旬より、働き始めました。まだまだ、どんなレストランになるかわかりませんが、少しでもお役にたって、素晴らしいレストランを作っていきたいです。

2011年4月20日水曜日

シリコンバレーに学ぶ「新しい可能性」

更新が遅くなってしまいました。記憶がかすれないうちに、シリコンバレーに学ぶシリーズ第3弾です。
今回は、「新しい可能性」と題して、日本ではまだ見ない珍しいものについて書きます。

1)任天堂のキャンペーン

サンフランシスコのケーブルカーの駅には、観光客の列ができます。
行列で待つ観光客にスポットを当てたのが、任天堂。
白いユニフォームを来たスタッフが、ニンテンドー3DSのキャンペーンをしていたのです。

白いユニフォームでキャンペーンを展開

ゲームを勧めてきた愛嬌のあるスタッフさん

3Dの画面というのは、実際に見てみないと実感がわきません。なので、彼らは、行列に飽きた観光客に、ゲームを見せて、口コミで3Dゲームを広げようと考えているのでしょう。

この斬新なマーケティング。東京でもマネできそうです。

http://whoburnedmytoast.blogspot.com/2011/03/nintendo-3ds-demo-tour-in-san-francisco.html

2)ザッポスのカルチャー

前回、名前だけ触れたザッポスとは、ラスベガスにあるオンラインの靴屋さんです。

ペットボトルの水を無料でくれる受付

この会社の企業文化がクレイジーなんです。

社員が髪の毛を染めているのは当たり前で、ボディーピアスやタトゥーも常識。

わいわいとパーティーのような感じで仕事をしているのです。

案内してくれた女性と後ろに控える社員さんの集団

特大サイズの靴が飾られたオフィス

みなさん、バーベル持っちゃってます。
後方には、緑色の髪の方もいます。

オフィス内は、とにかく装飾がすごいです。


しかしその外見とのギャップで、話してみるとものすごい切れ者ばかり。社内の数字もきちんと把握しているし、ビジネスの全体像をしっかりと理解して話をしてくれました。

で、いちばん驚きなのが、これで業績がすごいのです。1日の売り上げがなんと、約5億円。。。

徹底した顧客サービスを実現していて、それがビジネスを牽引しています。詳しくは、いろいろな本が出版されています。私も、1冊読んで、大げさに書いてあるんじゃないのかなあと思ってました。しかし、実際に見ると、内容は真実だったので驚きました。。


3)インキュベーションセンター

最後に、インキュベーションセンターという施設を紹介します。インキュベーションセンターとは、起業支援をする施設で、スタートアップの会社にオフィススペースを貸したり、弁護士や会計士による法律や財務のアドバイスを提供したり、経営面でのコンサルティングを提供したり、ベンチャーキャピタルの紹介をしたりしている施設です。

私が、訪問したのは、Plug & Play Tech Centerという施設です。ここは、もともとペルシャ絨毯の商人が、スタートアップの会社にオフィスを貸していたところ、その会社が大成功をし、大儲け。その資金で拡大した施設なのです。で、その大成功した会社というのがGoogleとEBAY。そんな運勢の強さも感じてか、このインキュベーションセンターには多くのスタートアップが入っています。

建物の外観


小さいところは2-3人くらいでオフィスを借りています。そして、オフィスはオープンで、パビリオンと呼ばれるスペースにて、弁護士、会計士、アドバイザー、大学、各国の公的機関がサービスを提供しています。

2-3人の会社は、これくらいのスペースを借りるようです。


訪問させていただいたサンブリッジ社


こういった施設が、シリコンバレーの種たちが成長する土壌になっているのです。

http://www.plugandplaytechcenter.com/



さて、シリコンバレーに学ぶシリーズ、3回にわたって書いてきました。

透き通る青空の下、好き放題自分の好きな仕事をして結果を出す。結果が出なければ、違う方法を試してみる。変わったことをやることが推奨され、怒る人はいない。

最後に、そんなシリコンバレーの「自由」を象徴するようなお話です。

カンファレンスのパネルディスカッションで、ある方がおっしゃいました。

「今、僕が、パネルディスカッション中に、ラーメンを食べ始めたとします。でも、怒られないのです。怒られないどころが、一人くらいは、『ラー油入れますか?』って言ってくる。それがシリコンバレーなんです。」

この例えが、妙にしっくりくるのです。

2011年3月25日金曜日

シリコンバレーに学ぶ「遊びの企業文化」

シリコンバレーに学ぶシリーズ第二弾は、企業文化についてです。今回、Google、Apple、Facebook、Twitter、Plug and Play Tech Center、Zapposの6社を訪問させていただきました。(Zapposは、現在、ラスベガスにありますが、企業文化的なくくりから、シリコンバレーに含まさせていただきました。)
 

左上から、Twitter、Google、Apple、Facebook。
Zappos、Plug and Play Tech Centerは次回の投稿で。


共通点は、「遊びの文化」でした。日本の企業からしたら、ふざけてるだろ!と怒られてしまうのではないかと心配なほど、遊びの要素が取り入れられています。

そんな遊びの空間で、一流のエンジニアさんたちが、短い労働時間で、新しいことを考え、新しいビジネスを創り出しているのです。

では、シリコンバレーで働くエンジニアさんたちは、日本で働くエンジニアさんたちと決定的な実力の差があるのでしょうか?

何人かのエンジニアさんにお伺いしましたが、日本のエンジニアさんは、すごい実力を持っているけど、企業の中でそれを生かしきれていないというのが一つの見解のようです。

では、シリコンバレーは何が違うのでしょうか?

私の感じたところによると次の3つが大きく影響しているようです。

(1)クリエイティブな発想を促す環境


楽しそうなGoogleの受付

AppleやGoogleでは、働く場所を「オフィス」と呼ばず、「キャンパス」と呼びます。広大な敷地内には、近代的な建物が点在し、その中を自転車で移動します。


Google キャンパスに置かれた自転車

中には、ビーチバレーコートがあったり、フラミンゴにかじられている(?)恐竜がいたり、ユニークな石像が点在していたり、テーマパークのようになっています。


フラミンゴにかじられている(?)恐竜

ユニークな石像が点々と


また、建物の中には、アーケードゲームのコーナーがあったり、ビリヤードができたり、Google Earthを体感できるマシーンがおいてあります。


Google Earth 体験マシーン
軽快な動きで、宇宙から都市に接近!
そして、都市をの中を自由に旋回!!

いたるところに、おやつや飲み物がおいてあり、すべて無料!訪問者の我々ももらい放題。レッドブルから、伊藤園のお茶、シリアルバーまで、「ほんとにいいんですか!?」ってくらい、もらいほうだいです。さらに、カフェテリアに行けば、これまたすべて無料でなんでも食べられます。

創造的デザイン空間で、至れり尽くせり。これなら、素人の私でも、新しいGoogleのサービスを思いついちゃうかも(なんてことはないですが。。。)というくらい、クリエイティブマインドが刺激されます。

この環境の中で、エンジニアさんたちの実力はクリエイティブに、思う存分発揮されるのではないかと思いました。


(2)仕事に没頭できる仕組み


急成長の Twitter のオフィス

各企業で、エンジニアさんとお話して思ったのが、仕事を心底、楽しんでいるなーということです。Apple社のエンジニアさんは、Appleの製品が大好きで入社したとおっしゃっていました。Twitter社のエンジニアさんに、長時間コンピューターを見て疲れないですか?と伺うと、仕事が楽しいから疲れないとおっしゃっていました。

みなさん、自分の大好きな仕事に没頭されているのです


Twitter の受付の装飾


で、重要なのは、自分の仕事に没頭できる環境があるということなのだと思いました。エンジニアリングについて全くの素人の私ですが、どうやら、次の2点が大きくかかわっているようです。
 
・サポート体制がしっかりしている
PCの調子が悪くなったら、すぐにサポートチームが来てくれて、代わりのPCを用意してくれるそうです。
・マインドの違い
アメリカでは、新製品の多少の不具合は無視して、新しい機能の開発を優先するそうです。また、Googleでは、専門的にバグつぶしのチームがあり、そのおかげで、開発サイドのスピードを滞らせずにすんでいるともおうかがいしました。

(3)現場主義の経営


Twitter オフィス内の駐輪場

シリコンバレーの経営者の特徴として、本人たちも、現場出身であることが多いとあげられると思います。

なんと、今回の訪問で、Appleのスティーブ・ジョブズ氏、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏、Twitterのディック・コストロ氏、Zapposのトニー・シェイ氏に、社内で遭遇しました。みなさん、普通に会社にいらっしゃいました。

ジョブズ氏は、ご病気だと聞いていたのですが、普通にカフェテリアでランチをとられていたので、驚きました。映画にもなったザッカーバーグ氏は、会議中にもかかわらず、手を振ってくれました。トニー・シェイ氏は、緑色のタキシードをまとい、お祭り模様でした。


Zappos の CEO トニー・シェイ氏のデスク
ジャングルのインテリアでモンキー通り (Monkey Row) と呼ばれている 

まさに、顔の見える経営です。シリコンバレーでは、手を動かせるエンジニアの地位が非常に高いと聞きました。それに比べ、いわゆるビジネスマンの地位は低いとか。なので、社長も自らが現場でみんなといっしょに働くという風土が当たり前になっています。

百聞は一見にしかず。これらの企業については、いくら本で読んでも、これは大げさに書いてるんだろとか、実感がわかないことが多いと思います。今回の訪問で、今まで読んだり聞いたりしてきたことが、本当だった、あるいは予想以上だったということを体感できました。

この遊びの企業文化を、そのまま日本の企業に当てはめるのは極めて難しいと思います。しかし、この企業文化を作り上げる遊びのマインドを持つことで、日本の企業も、もっともっとイノベーションを起こしていけるのではないかと思いました。そして、前回紹介した象の柵を飛び越えることができるかもしれません。

ということで、次回は、シリコンバレーに学ぶ「新しい可能性」について書こうと思っています!

2011年3月22日火曜日

シリコンバレーに学ぶ「起業家の成功の秘訣」

春休みに、カンファレンスと企業訪問のため、西海岸に行ってきました。これから数回にわたり、その時に見聞きしたこと、そして、考えたことを書こうと思います。初回は、「起業家の成功の秘訣」についてです。

カンファレンスでは、シリコンバレーで活躍されている日本人の方のレクチャーやパネルディスカッション、テーブルディスカッションが行われました。その中でも、私が特に刺激を受けたのは、ベンチャーキャピタルで働かれている方の、「成功している起業家」についてのお話でした。


カンファレンスが行われたサンノゼ大学のキャンパス

その方は、次の6つを成功の秘訣として挙げました。

1)恐怖心に打ち勝つ精神力
2)クリエイティブ
3)インテリジェンス
4)諦めない
5)チームプレイ
6)明るいこと(辛いことがあっても、くよくよしない)

どれも、決して目新しいことではないのですが、毎日、シリコンバレーの起業家と会い、実際に投資をされている方の直々の言葉には重みがありました。その中でも、特に、1)恐怖心に打ち勝つ精神力、4)諦めない、6)明るいこと、の3つに大きな共感を覚えました。


恐怖心に打ち勝つ精神力

私の大好きな「象の話」があります。これは、私が中学校1年生の時に、国語の先生がしてくれたお話です。それを、十数年ぶりに、シリコンバレーの地で聞くことになりました。

小象を柵の中で飼います。暴れん坊の小象は、柵を抜け出そうとして毎日、暴れます。暴れるたびに、小象はおしおきをされます。そうすると、だんだんに暴れなくなって、柵の中でおとなしくするようになります。やがて、小象は大きな大人の象になります。

そして、ある日、柵を外してみました。しかし、象は柵の外へと出ようとはしません。怖くて出られないのです。いや、そもそも柵の外に出るということ自体思いつけない思考になってしまったのでしょう。


ラスベガスMGMホテルで飼いならされたライオン
象と同じ心境かもしれない

この話を思い出すたびに、私も、見えない柵の中にいるのだと、自分を戒めています。この柵から外に飛び出す勇気を持たなくてはいけません。シリコンバレーには、この柵を飛び出しやすい環境が整っていると思います。これについては、また後日書こうと思います。


諦めない

以下の二つの言葉が印象的でした。

「成功する秘訣は成功するまでやめないこと」

「成功とは失敗をManageすることの積み重ね」

成功している企業の業績は、伸びています。しかし、本当に常に伸びているのでしょうか?年単位で伸びている企業も、月単位、日単位では、実は、アップダウンの繰り返しだったりするそうです。その中で、経営者は毎日胃がキリキリする思いをしながら、諦めずに失敗から成功を紡ぎ出しているのです。

とにかく、諦めないことが成功へ導いてくれるのです。

かのリンカーンも、23歳で州議会落選、25歳で事業に失敗、26歳で失恋、27歳でノイローゼ、34歳から46歳までに下院議会選挙で5回落選、46歳で上院議会選挙で落選、47歳で副大統領選で落選。。。という失敗の連続を経て、51歳で大統領になったそうです。失敗に負けない強靭な精神力の持ち主だったのでしょう。


世界一曲がりくねった坂道
サンフランシスコのロンバートストリート

明るいこと

上に立つものがくよくよしていては、組織は動きません。どんな時も、明るく元気よくすることが成功の秘訣だそうです。こういった性格が人徳を寄せ付け、運気を押し上げて、成功に導いてくれるのでしょう。

シリコンバレーの陽気な天気は、そんな人間の明るさを引き出してくれる気がします。


天高く聳えるヤシの木

ということで、今回は、シリコンバレーでのレクチャーに学ぶ成功の秘訣でした。次回は、訪問した企業のリポートと絡めながら、シリコンバレーのカルチャーについて書いてみようと思います。

2011年3月21日月曜日

東日本大震災 お見舞い申し上げます

東日本大震災で、被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。もう一度元気な日本に一日も早く戻れることをお祈りしております。そして、アメリカから、何らかの形で復興に貢献していきたいと考えております。

アメリカ時間の深夜、ちょうど3月10日が終わり、翌日のファイナンスの試験に向けて勉強をしておりました。3月11日深夜1時過ぎに、いとこから「取り急ぎ無事です」というメールを受信しました。何のことかわからず、ネットでニュースを見てみると、地震が起こったとのこと。

その時は、まだ深刻さがわからなかったのですが、そのあと、日本人の同級生から電話が来ました。「日本が大変なことになっている」と。すぐにツイッターのTLを確認してみると、信じられないことが起きていることがわかりました。

ツイッター上で、NHKの中継を見られるUstreamのリンクが何度もリツイートされていたので、すぐにそれを見てみました。現実とは思えない映像に、心臓が止まる思いでした。

翌日学校へ行くと、教職員の方々や、クラスメートから、家族や友人の安否を心配されました。そして、ことの重大さを再認識しました。

その後の1週間は、予定されていた西海岸でのカンファレンスと会社訪問があったので、しばらくボストンを離れていました。その間も、報道はずっと日本のことでしたし、海外のいろいろな方から、心配や激励のメールをいただきました。

ニュースを見る限り、まだまだ危機的状況は続いているようですし、今後の復興費用は15兆円から20兆円とも言われています。長期的な復興活動に少しでも貢献できるよう、あらゆる面から自分ができることをこなしていきたいと考えております。

2011年3月6日日曜日

メープルの滴

最終生産物しか見えないこの消費社会で、モノの生産工程を見る機会はとても貴重です。ということで、メープルシロップの生産工程を見に、ボストン西南、Uxbridgeという町のBlackstone Valleyというところに、行ってきました。
http://www.blackstonevalleysugaring.org/

ボランティア中心に運営しているメープル・シロップ生産のビジターセンターです。地元の農家の方々が、兼業でメープルシロップを作られています。


ニューイングランドの雰囲気が漂うビジターセンター

始めに、メープルシロップのレクチャーをしていただきました。なんと、メープルの木から、シロップのもととなる樹液がとれるのは、この3月の初めの20日間だけだそうです。とても短い期間です。


ボランティアスタッフの方によるレクチャー

メカニズムとしては、夜、氷点下の寒い中、樹木中の水分が凝縮されて圧縮されます。それが、日中気温が上がって暖かくなると、膨張します。そこで、樹木に小さな穴をあけると、樹液が外にこぼれてくるのです。つまり、この「寒暖差」という気候条件がそろわないと、メープルの樹液はとれません。現在、生産が可能な国は、3か国だけだそうです。カナダ、アメリカ、そして、なんと、日本!Wikipediaによると、埼玉県秩父市で作っているそうです。)

レクチャーの後は、いよいよ外へ。実際に樹液採取です。樹木に小さな穴を掘ると、すぐにポタポタと樹液がこぼれてきます。それをバケツでキャッチ。指先に垂らしてなめてみました。無色透明、粘りなし。ほんのり甘い水といったところです。


以前、あけた穴には白いマークがついている
それを見ながら、どこに穴をあけるか狙いを定める



指に垂れ落ちるメープルの雫


雪が溶けて湿った地面から、水分と養分を吸収

昔、ネイティブアメリカン(アメリカン・インディアン)が、どうやってメープルシロップを作っていたかのデモンストレーションを見ました。採取した樹液に、焼石を放り込む。そうすると、一気に蒸発します。この時の湯気の香り、お祭りの綿菓子にそっくりです。


ネイティブアメリカンの工程を模倣

防水のこの器は、カヌーを作るときの樹皮から作られている

焼石を放り込み、沸き立つ甘い湯気

これは、現代版のメープルシロップを生産するマシーン。ものすごい湯気が立ち込めます。


すごい勢いで立ち込める湯気

最後は、サンプルをいただいて、お土産コーナー。メープル・テリヤキ・ソースという不思議な商品もありました(笑)


ツアーの最後はやはりサンプルの試食

メープル・テリヤキ・ソース。。。

さて、こういった一連のメープルシロップのプロモーションは、マーケティングでは、「シェア・オブ・マインド」(心の占有率)の向上の一環と考えられます。商品の認知から購買までの行動は、一般的に、AIDAと呼ばれる4つのステージに分けられます。「Awareness:認知」⇒「Interest:興味」⇒「Desire:欲求」⇒「Action:購買」。この最初の2ステージにおいて、どうやってより多くの消費者の認知を得て、興味を促すか。そして、いかにして、消費者の頭の中に「メープルシロップ」を占有させるか。それが、最終的な購買行動につながっていくのです。また、ソーシャルメディアも意識して、Facebookのサイトもちゃんと作っています。http://www.facebook.com/blackstonevalleysugaring ITリテラシーが農家まで浸透しているのは、アメリカのすごいところだと思います。

というMBA的な理屈は抜きにして、農家の方々は、楽しそうにボランティアで(無給で)活動をしていました。純粋に、自分たちの育てているものをみんなに知ってもらいたいというピュアな気持ちが感じられました。いいものを作ったら、それをみんなに食べてもらいたいと思う。これが、モチベーションの源泉になってるビジネスは、消費者に幸せをもたらすと思います。

ボランティアの子供たちが作ったスノーマン

2011年2月21日月曜日

遠き春

あいかわらず、ボストンは寒い日が続いています。先週末、暖かくなって、少し雪が溶け始めたのですが、また寒さが戻ってきました。心身ともに、春が待ち遠しいです。

春がなかなか来ないなら、こちらから春を探しに行こうということで、街に出かけてきました。

まずは、チャイナタウンへ。いい天気です。

ボストン・チャイナタウンのメインゲート

ボストンの中心街。コプリー周辺です。人はあまり出ていないですね。。

ローストナッツの屋台

雪が残るニューベリーストリート

お昼は、プルデンシャルタワーのWagamamaで、カツカレー。なんと、カツがご飯の下に!なぜ?


カツがご飯の下敷きになっているカツカレー
ちょっとだけ色が緑っぽい

午後は、ボストンコモンの公園へ。


見るからに寒そうな公園

なんと、池が完全に凍ってます。そして、みんな、池の上ではしゃいでます。

下は完全に氷。転んでる人もちらほら。


滑りながら駆け回る犬たち


友人の勉強しているサフォーク大学の図書館へ。都市型の大学で、とてもきれいな校舎です。図書館で、本を読みながら、昼寝。

サフォーク大学の図書館

夕方、起きて、次は、クインシー・マーケットへ。寒いので、人はほとんどいません。

秋は人がたくさんいましたが、冬は。。。

建て物の中

アメリカらしいお菓子

そして、夜は、ポータースクエアのBlue Finで日本食。またしても、カツカレーを食べます。こちらは、正道。

本物のカツカレー

ということで、春を見つけるどころか、冬の再発見ばっかりでした。。。

あと、1か月は辛抱しなくてはいけないですね。最後に、リスも寒そうでした。



ボストン・コモンのリス