2010年12月27日月曜日

MBAのフレームワークと吹雪の後のキャンパス

MBAと言えば、フレームワークです。バブソンMBAでも、例外なく、フレームワークを教わります。

キャンパスの新雪に彫刻

戦略論、マーケティング、ファイナンス、どの教科を勉強していても、先人たちの教えが、きれいなマトリックスやチャートで説明されています。よく出てくるのが、マイケル・ポーターのファイブフォース分析やバリューチェーン。それから、マーケティングの5Cや4P。また、SWOT分析やSTEP分析といった、各項目の頭文字をとったフレームワークも多数あります。これらのフレームワークの説明は、そのうち、別の投稿で簡単にまとめておこうと思います。

さて、なぜフレームワークを使うのでしょうか?一般的に言われていることも含め、私が思っていることを書いてみました。

1)何から始めていいかわからないときのとっかかり

何も知識がなく、いきなり、ジュース業界について分析してくださいと言われたら、どうしますか?私の場合、何から始めていいかわからず、混乱します。とりあえず、売り場にいってみて棚に置いてあるジュースの種類を見たり、価格を見たり、味を比べてみたり。と、やってみても、結局のところ、もわーっとして主観的な分析しかできなかったりします。

そこで、ファイブフォース分析をしてみると、もっと産業のビッグピクチャーが見えてきます。「供給企業の交渉力」「買い手の交渉力」「競争企業間の敵対関係」「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」計5つの要因から業界全体の魅力度を見てみるのです。たとえば、「供給企業の競争力」ですが、ジュースを製造する会社の供給サイドの取引先は、果物を作る農家やペットボトルを作るプラスチックの生産企業です。こういった会社とどう価格交渉をするのか。どれくらい相手が価格交渉力を持っているのかを考えます。

このように、何から分析を始めればいいのか、マイルストーンをおいてくれるのがフレームワークです。

2)漏れやダブりがないかチェック

フレームワークは、分析の漏れを防いでくれます。先人たちが知恵をこらして作ったものなので、使い方を間違えなければ、把握すべきものをすべて網羅できるような作りになっています。そして、よくできているので、ダブることもありません。よく、コンサルタントの方が使うMECEになっているというやつです。自分でこのMECEになるような分析をするのは困難です。

3)ディスカッションの際の共通基盤として機能

BCAPのプロジェクトを通じて思ったのですが、ディスカッションは、いかにして全員が同じトピックに集中して話し合いをするかが重要です。このトピックが合致していないと、いくら話し合っても、それがかみあわずに時間だけが過ぎていきます。

たとえば、ジュース産業について話し合う時に、ある人は経済的側面。ある人は政治的側面。ある人は社会的側面。ある人は技術的側面について話し、まったく話がかみ合わないとします。しかし、この4つがSTEP分析(PEST分析)の4つの要素であることを全員が理解していれば、この話し合いを4つのフェーズに分けて一つずつ話し合うことができます。(PEST: Political, Economical Social and Technological)

グループワークでは、みんなが同じ議題を持つことがとても大事です。フレームワークはそのコンセンサスの共有にとても便利なツールです。

しかし、教わったフレームワークを使うな!というお達しが出ました。

それは、BCAPのプレゼンテーションを作成しているときでした。アドバイザーである教授から、教授陣へのプレゼンテーションの際に、スライドにフレームワークをのせてはいけないと言われたのです。フレームワークの説明ではなく、そこから導き出されるストーリーが聞きたいというのです。

これは、ごもっとものアドバイスです。プレゼンテーションを聞いている方にとっては、フレームワークを使った説明はロジカルだけど、面白味がなく、結局メッセージが伝わってこないのです。フレームワークは、あくまで分析のツールであり、それが結果ではないのです。

今後、MBAでさらに多くのフレームワークを学ぶことになるでしょう。それを学んだことで満足してはいけないという、貴重な警告でした。分析はできて当たり前。問題は、そこからどんなストーリーを紡ぎ出すか。ここが醍醐味なのです。そして、ここが分析からビジネスプランを練るための架け橋なのだと思います。このストーリーの紡ぎ出し作業に労力をかけることが、私の目標です。数をこなし、経験と直観を養う、これを繰り返していこうと思います。

結局、BCAPのプレゼンテーションでは、ひとつもフレームワークに触れませんでした。しかし、そこで語った内容は、どれもフレームワークを使った分析から紡ぎ出されたストーリーです。なので、このストーリーに漏れやダブりはなく、論理的にも筋が通っていました。(と私は思いました。)

さて、話は替わり、昨晩、アメリカ東海岸を吹雪が襲いました。夜中に、外で、ゴーゴーものすごい風の音がしていました。

雪と風がふりかかる校舎

今朝、ニューヨークのセントラルパークでは、1948年以来、月間積雪量が最高だったようです。20インチ(51cm)積もったそうです。この悪天候で、6000本のフライトがキャンセルになりました。ボストンはというと、18インチ(46cm)。朝、駐車場に行ってみると、車が雪に埋もれていました。


車の上に分厚く積もった雪

キャンパス内を歩いてみると、きちんと歩道まで雪かきがされていて驚きました。といっても、まだ雪が降っているので、またすぐに白くなってしまいますが。


雪かきされた歩道に再び積もる雪

MBAの校舎、オーリンホールも雪で真っ白です。


冬休みで中は無人のオーリンホール


メインゲートも雪化粧です。

絵になる校門

白一点の中、枯れ葉を発見。この寒さだから、触れたら、もろく砕けそうです。

凍てつく枯葉

今もまだ、窓越しに、風の音が聞こえてきます。

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